切削加工・熱間鍛造加工による量産品の工法変換によりリードタイム削減・コストダウンを実現!

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シャフトの冷間鍛造化

ロングシャフトの工法と冷間鍛造の優位性について

1.ロングシャフトとは?

ロングシャフトとは、一般的な軸部品よりも長尺で、トルク伝達や回転運動を安定的に支える役割を持つ軸部品の総称です。自動車、産業機械、工作機械、建設機械、さらにはエネルギー関連設備など、幅広い分野で使用されます。特に自動車分野では、エンジンからタイヤへ動力を伝えるドライブシャフトや、建設機械の駆動部に用いられるトランスミッション部品などが代表例です。

ロングシャフトは長尺であるがゆえに、ねじりや曲げの応力を均一に受け止めることが求められます。断面精度や表面粗さ、直線度といった要素が不足すると、振動や騒音、耐久性低下といった不具合につながるため、製造方法の選定は非常に重要です。

また、長尺化によって材料歩留まりや加工工数が増加するため、コスト面での工夫が必須となります。購買担当者や設計担当者にとって、ロングシャフトをいかに高品質かつ低コストで調達できるかは、全体の製品コスト競争力に直結する課題です。

2.ロングシャフトの工法と工法選定のポイント

ロングシャフトは用途や要求特性によって、さまざまな工法で製造されます。代表的な工法には以下のようなものがあります。

切削加工

素材となる丸棒や鋼材を旋盤やマシニングセンタで切削して形状を整える方法です。試作や少量生産には有効であり、精密な寸法加工が可能です。ただし、長尺になるほど加工変形や反りのリスクが高まり、歩留まりも低くなります。さらに、材料除去による無駄が多く、量産においてはコスト高要因となります。

溶接・組立加工

複数の短尺シャフトや部品を溶接・接合して一本のロングシャフトを構成する工法です。大型機械や特殊用途で採用されることがありますが、接合部が強度の弱点となる可能性があり、高荷重・高トルク用途には不向きです。非回転部や補助軸としての使用に限定される場合が多いです。

熱間鍛造

高温状態で鋼材を塑性変形させてシャフト形状を作り出す工法です。比較的自由な形状を実現でき、金属内部の組織を緻密化することで強度向上も可能です。ただし、加熱炉や鍛造金型が必要でエネルギーコストも高く、スケール(酸化被膜)の除去工程など付随作業が発生します。

冷間鍛造

常温に近い温度で素材を金型内で圧縮成形する方法です。寸法精度が高く、切削に比べて材料利用効率が大幅に向上します。また、金属組織が繊維状に流れることで疲労強度や耐摩耗性が改善される点も特長です。大量生産において「ロングシャフト コストダウン」を実現する工法として有力です。

工法選定のポイント

  • 寸法精度と直線度:高精度が要求される駆動系では冷間鍛造後の仕上げ切削が有効。
  • コスト最適化:大量生産では冷間鍛造が優位、小ロットでは切削加工が適する。
  • 強度要求:高荷重環境では鍛造品が有利、接合構造は避けるべき。
  • 生産効率:短納期対応には切削加工、安定供給には冷間鍛造が効果的。

設計者にとっては、性能要求とコスト要件を満たす最適工法を選ぶことが、製品全体の競争力強化に直結します。購買部門にとっては、量産性とコストダウンの両立が発注判断の決め手となります。

3.ロングシャフトを冷間鍛造化するメリット

ロングシャフトの製造に冷間鍛造を適用することで得られるメリットは多岐にわたります。

高い寸法精度と仕上がり品質

冷間鍛造では、金型の精度に依存して寸法が再現されるため、直線度や外径の均一性が高い製品を得られます。加工後の追加切削量も削減でき、結果として製造リードタイム短縮につながります。精度が求められるドライブシャフトや工作機械の主軸において、安定した品質を維持できる点は設計担当者にとって安心材料となります。

材料歩留まりの向上とコスト削減

冷間鍛造は塑性変形によって形状を作り込むため、切削加工と比べて廃材が大幅に減少します。これにより「ロングシャフト コストダウン」を実現できます。特に長尺品は素材の単価が高いため、歩留まり改善によるコスト削減効果が大きく、購買担当者にとって魅力的な選択肢となります。

機械的特性の向上

冷間鍛造によって結晶粒が微細化し、金属組織が繊維方向に沿って流れるため、ねじり強度や曲げ強度が向上します。高トルク環境や長期使用に耐えるシャフトが実現でき、耐疲労性が重要な輸送機器や産業機械においてメリットが発揮されます。

生産性の向上

多段プレス機を用いた連続成形が可能で、安定した大量生産に対応できます。納期対応力が高まり、サプライチェーン全体の効率化につながります。冷間鍛造は標準化された工程設計が可能であるため、品質ばらつきが少なく、グローバル展開する大手メーカーにとっても有効です。

環境対応と持続可能性

冷間鍛造は切削粉の排出が少なく、廃棄物削減につながります。さらに加熱工程が不要なためエネルギー消費も抑制でき、CO2削減にも寄与します。環境対応を重視する製造業にとって、冷間鍛造によるロングシャフト製造はCSRやESGの観点からも評価が高いです。

調達・購買面での優位性

購買担当者にとって、安定供給とコスト最適化の両立は重要課題です。冷間鍛造を採用することで、長期的な部品調達コストの削減と同時に、品質クレームリスクの低減を実現できます。結果としてサプライヤー選定における信頼性向上につながります。

5.ミナミダが過去製造した、ロングシャフト事例

ミナミダはこれまで、様々な産業分野において、お客様の課題解決に貢献するロングシャフトを数多く手掛けてまいりました。特に自動車業界においては、高い品質と信頼性が求められる重要部品の製造実績が豊富です。以下に、ミナミダが過去に製造したロングシャフトの事例を紹介いたします。

5-1.ロングシャフト-自動車業界向けシート部品

本事例は、自動車向けシート用のシャフト部品です。長尺且つ絞り率が高く、難易度が高い製品でした。従来は鍛造後に切削加工を行い、必要な径まで仕上げ加工を行っていましたが、当社が保有する長尺仕様の冷間鍛造機であれば、長尺品の密閉絞りも出来、冷間鍛造一発加工を行いました。結果として、切削レスを実現し、部材ロスや加工時間の短縮によるコストダウンを実現しております。

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