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鍛造加工とは
鍛造加工とは
物体に対して一定以上の力を加えると、物体は変形し、加えた力を取除いても、物体は変形した状態のままとなります。
このような変形は永久変形と呼ばれ、永久変形を残すような変形を「塑性変形」と呼ばれます。
そして、この塑性変形を金型を用いて行う加工方法を「鍛造」と呼びます。
鍛造の分類について
鍛造加工は鍛造の温度によって熱間鍛造、温間鍛造、冷間鍛造と分類されます。熱間鍛造は鍛造温度が1000~1250℃、300~900℃までを温間鍛造、常温下(または常温に近い環境)での鍛造加工を冷間鍛造と呼びます。
鍛造温度による鍛造品の比較表
比較項目 | 熱間鍛造 | 温間鍛造 | 冷間鍛造 | |||
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鍛造温度 | 1000~1250℃ | 750~850℃ | 300~500℃ | 常温 (または常温に近い温度) |
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成形方法 | ・バリ出し方式 | ・押し出し方式 ・バリ出し方式 ・密閉方式 |
・押し出し方式 ・バリ出し方式 ・密閉方式 |
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材料の変形抵抗 | 小 | 中 | 大 | |||
材料の加工限度 | なし | なし | あり | あり | ||
鍛造圧力 | 低い | 低い | 高い | 高い | ||
鍛造荷重 | 低い | 熱間鍛造と冷間鍛造の中間 | 高い | |||
材料に要求される寸法精度 | 低い | 低い | 高い | 高い | ||
材料の前処理 | 不要 | 不要 | 焼なまし、 球状化焼きなましなど |
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潤滑 | 材料 | - | グラファイトなど | リン酸塩被膜 +金属セッケンなど |
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金型 | グラファイトなど | グラファイトなど | 不要 もしくは クーラントオイルなど |
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主な鍛造設備 | クランクプレス スクリュープレス アプセッター ドロップハンマー |
ナックルジョイントプレス クランクプレス 油圧プレス |
多段フォーマー ヘッダー ナックルジョイントプレス 油圧プレス |
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成形工程表 | 少ない | 冷間より少ない | 多い | |||
製 品 |
組織 | 粗大化 | 微細化、急冷組織 | 微細化 | ||
脱炭層(mm) | 0.3〜0.4 | 0.10~0.25 | なし | なし | ||
表面粗さ | <20S | <10S | <10S | <10S | ||
抜け勾配 | 0.5°~6° | <1° | <1° | 0° | ||
寸 法 精 度 |
金型により規制あり | ±0.5~±1.0 | ±0.05~±0.15 | ±0.05~±0.15 | ±0.0025~±0.1 | |
厚さ | ±1.0~±2.0 | ±1.0~±0.25 | ±1.0~±0.25 | ±1.0~±0.20 | ||
偏肉 | 0.7〜1.0 | 0.10~0.40 | 0.10~0.40 | 0.05~0.20 | ||
形状 | 複雑 | 複雑 | 複雑なものもある | 複雑なものもある |
参考文献 日本塑性加工学会・鍛造分科会 「精密鍛造」