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ヒートシンクを特注で製造する上で、押さえるべきポイント
2024年以降、生成AIが浸透し、インターネットと同様もしくはそれ以上に仕事を進める上で欠かせないツールとなりました。生成AIが欠かせないツールとなる中で、社会課題となっているのが、高い消費電力です。そこでポイントとなるのが、冷却機構です。大手企業では生成AI用のサーバー向けに冷却システムを新たにリリースするなど技術開発・技術競争が進んでいます。
本頁では、当社の加工技術で製造可能な冷却機構に寄与する「ヒートシンク」について情報をお伝えいたします。生成AIにより、サーバー関連に限らず、周辺機器も演算処理スピードの上昇により、従来のヒートシンクでは対応できないケースが増えています。そこで重要な役割を果たすのが「特注ヒートシンク」です。本コラムでは、ヒートシンクの基本的な知識から、加工方法・工法のパターン、そして特注ニーズにも対応したコストダウン事例まで詳しく解説します。
1.ヒートシンクとは?~特注ニーズの高まり~
ヒートシンクとは、電子部品などから発生する熱を効率的に外部へ放散させるための部品です。熱伝導性の高い金属(アルミニウム、銅など)で作られ、表面積を大きくするためのフィンと呼ばれる突起が設けられているのが一般的です。近年、電子機器の多様化、高出力化に伴い、既製品では対応できない特殊な形状や材質、放熱性能が求められるケースが増加しています。そのため、特注ヒートシンクのニーズが急速に高まっています。ヒートシンクの性能は、電子機器の安定動作や寿命に大きく影響するため、適切な設計と加工が求められます。
2.ヒートシンクを加工する工法のパターン~特注対応のポイント~
ヒートシンクの加工方法・工法は、製品の形状や材質、量産性などによって多岐にわたります。特注ヒートシンクでは、複数の工法を組み合わせることで、より複雑な形状や高い性能を実現することが可能です。代表的な工法としては、以下のものが挙げられます。
冷間鍛造 | 材料を常温でプレス成形する方法です。強度が高く、複雑な形状を高い精度で成形できます。特注では、高強度・高精度が求められるヒートシンクや、特殊な材質にも対応可能です。 |
押し出し加工 | アルミニウムなどの材料を金型に通して押し出し、連続的に成形する方法です。量産性に優れ、比較的安価に製造できます。特注では、独自のフィン形状やサイズに対応した金型設計が可能です。 |
切削加工 | 金属の塊から不要な部分を削り出す方法です。複雑な形状や高い精度が求められる場合に適しています。特注では、CAD/CAM技術を駆使し、複雑な3次元形状にも対応可能です。 |
スカイプ加工 | 材料を薄く削り起こしてフィンを形成する方法です。ベースとフィンが一体化するため、熱伝導性に優れています。特注では、フィンの高さやピッチを細かく調整し、最適な放熱性能を実現可能です。 |
ダイカスト | 溶融した金属を金型に注入し、成形する方法です。複雑な形状を一度に成形でき、量産性に優れています。特注では、複雑な形状のフィンや内部構造を持つヒートシンクにも対応可能です。 |
特注対応では、これらの工法を組み合わせることで、顧客のあらゆるニーズに対応します。
3.ヒートシンクを工法転換することがポイント~特注ヒートシンクの設計・製造の流れ~
ヒートシンクの製造において、工法転換はコストダウンと性能向上のための重要な手段となります。特に、特注ヒートシンクでは、製品の特性や量産性などを考慮し、最適な工法を選択することが重要です。
≪特注ヒートシンクの設計・製造の流れ≫
- 顧客との打ち合わせ:製品の使用環境、発熱量、形状などの要望をヒアリング。
- 設計・解析:CAD/CAM技術や熱流体解析を用いて、最適な形状、材質、工法を検討。
- 試作:試作機を作成し、放熱性能や強度などを評価。
- 量産:評価結果に基づいて量産体制を確立。
- 品質管理:ISO認証に基づいた品質管理体制で、高品質な製品を提供。
4.ヒートシンクのコストダウン事例~特注ヒートシンクの事例~
産業機器メーカーでは、特殊な環境下で使用されるヒートシンクの製造に課題を抱えていました。従来は切削加工で製造していたため、コストが高く、納期も長いという問題がありました。そこで、当社では、冷間鍛造と切削加工を組み合わせた特注ヒートシンクを提案しました。冷間鍛造でフィン形状を成形し、切削加工で細部の仕上げを行うことで、コストを40%削減、納期を半分に短縮することに成功しました。また、冷間鍛造により、強度と放熱性能も向上し、顧客から高い評価を得ています。
このように、ヒートシンクの加工方法・工法を見直すことで、コストダウンと性能向上を両立させることが可能です。最適なヒートシンクの選択は、電子機器の性能とコスト競争力を高める上で不可欠です。
4‐1.アルミ製ヒートシンク
本事例は冷間鍛造.comが製造したヒートシンクです。熱を持つ製品の近くに設置し、放熱を担うための部品として使用されます。一般的には、形状がヒートシンクの設計担当者により異なり、放熱対象により形状も様々であることから切削加工により仕上げることが多い製品です。
詳しくはこちら▶▶▶
4‐2.アルミ製ヒートシンク
本事例は冷間鍛造.comが製造したアルミ製のヒートシンクです。熱を持つ製品の近くに設置し、放熱を担うための部品として使用されます。
当社で製造可能なヒートシンクは、形状がヒートシンクの設計担当者により異なり、放熱対象により形状も様々であることから切削加工により仕上げることが多い製品です。
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