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ステンレスボルトの冷間鍛造のメリット
ステンレスボルトとは?
ステンレスボルトは、名称の通り、素材としてステンレス鋼を採用し成形を行った製品です。ステンレス鋼は、一般材料と比較して耐食性に優れているため、湿気や腐食に強く、通常の鋼材よりも耐久性が高いため、高負荷や高回転速度の環境で使用されることがあります。
また、ステンレス鋼は磁気性があまりないため、磁場が関与するアプリケーションで使用されることもあります。本ページでは、ステンレスボルトの製造方法や当社の加工実績について用途とともにお伝えいたします。
ステンレスボルトの製造方法と、冷間鍛造を考慮したステンレス素材とは?
ステンレスボルトはその多くが冷間鍛造工法によって製造されます。複雑形状を持つ場合には切削加工を行う場合もありますが、ロットが数万・数十万個となると量産におけるコストメリットを出すために、冷間鍛造での加工が一般的であると言えます。ただし、冷間鍛造による加工はステンレスの材質特性と相性が一部悪い点もあり、特殊素材を使う場合などがあります。
具体的には、SUS304材をXM7(SUSXM7)に置き換える提案が行われる場合があります。XM7とは、SUS304と比べて加工しやすい材質であり、SUS304と比較をすると、どちらもオーステナイト系のステンレス(主成分にクロムとニッケルを含むステンレス、耐食性に優れる)ですが、SUSXM7はSUS304に「銅」を添加することで圧力を加えた際の硬化性を抑え、成形性を付加した素材と言えます。
ちなみに、SUS304の冷間鍛造による成形においては、圧力硬化により製品に「割れ」や「欠け」が発生しやすく、かつ金型(パンチ・ダイス)・工具という点でも摩耗がはげしく、工具寿命にも影響を及ぼします。つまり、XM7への置き換えは形状の自由度や、ランニングコストにおける不必要なコストアップを下げることができる提案です。一方で、耐食性や強度という点では、XM7はSUS304と遜色はありません。
ただし、成分としては、
・SUS304 =鉄(Fe)+クロム(Cr)18% + ニッケル(Ni)8%
・SUSXM7=鉄(Fe)+クロム(Cr)18% +ニッケル(Ni)9%+銅(Cu)3%
と表現できますが、SUS304に銅を添加することになるため、価格が1.1倍~1.2倍ほど高くなります。
さらに昨今、銅の価格が高騰している背景もあるため、材料コスト、形状・精度の再現性、加工プロセス等を多面的に考慮し、最適なご提案ができる冷間鍛造メーカーが求められていると思います。
SUS304材を素材としたボルト製品についてお困りの案件がありましたら、お問い合わせください。
ステンレスボルトを冷間鍛造で製造するメリットとは?
ステンレスボルトの冷間鍛造化によるメリットには以下のようなものがあります。
1. 材料の高強度化: 冷間鍛造によって、ステンレスボルトの材料がより密度が高くなり、強度が向上します。
2. 寸法精度の向上: 冷間鍛造は高い精度を持つため、ボルトの寸法精度が向上し、品質の向上につながります。
3. 表面の美観と耐食性の向上: 冷間鍛造により材料中の気泡や不純物が少なくなるため、表面の美観が向上し、耐食性も向上します。
4. 疲労特性の向上: 冷間鍛造によって材料の疲労特性が改善され、長期間の使用においても高い耐久性が得られます。
これらのメリットにより、冷間鍛造はステンレスボルトの性能や品質の向上に貢献します。
ステンレスボルトの事例紹介
1.エキゾーストシャフト-自動車用の廃棄回収機部品-
本事例は、自動車業界向けのシャフトエキゾースト部品です。特徴としては、SUS材に対して、L/D≒4の強据え込みを実施している点が挙げられます。
また、軸部の面粗度がRa3.2であるため、製品の仕上がりも注意して製造を行う必要がございます。