column
ステンレスシャフトの製造・加工なら冷間鍛造.comへ ~冷間鍛造が実現する高精度・高強度シャフトの提供~
ステンレスシャフトとは?
ステンレスシャフトは、その優れた耐食性と強度から、自動車部品、産業機械、OA機器に至るまで、幅広い分野で不可欠な部品です。
しかし、一口にステンレスシャフトといっても、その材質や製造方法によって性能やコストは大きく異なります。ミナミダは、長年培ってきた冷間鍛造技術を駆使し、お客様の要求仕様に最適なステンレスシャフトを提供します。
ステンレスは難加工材として知られますが、ミナミダは独自の技術ノウハウによって、冷間鍛造化が難しいとされる高精度・高強度な製品を、安定した品質とコストにより提供することが可能です。この記事では、ステンレスシャフトの基礎知識から、ミナミダが誇る冷間鍛造技術の優位性、そして具体的な製品事例までを詳しく解説します。ステンレスシャフトの選定や加工でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
ステンレスシャフトの基本と材質ごとの特徴
ステンレスシャフトとは、鉄を主成分とし、クロムやニッケルを含有させることで「錆びにくさ(Stainless)」を高めたステンレス鋼を材料とする軸状の部品です。この錆びにくさという特性により、水や油、薬品にさらされる環境下でも長期間にわたって性能を維持することができます。また、強度や耐熱性、そして美しい外観も兼ね備えているため、機能部品だけでなくデザイン性が求められる箇所にも使用されます。ステンレス鋼には多くの種類が存在し、それぞれに異なる特性を持つため、用途に応じた適切な材質選定が極めて重要です。
代表的なステンレス鋼の種類と、その特徴は以下の通りです。
SUS304(オーステナイト系)
最も代表的で汎用性の高いステンレス鋼です。クロム18%、ニッケル8%を含むことから「18-8ステンレス」とも呼ばれます。耐食性、溶接性、靭性に優れており、幅広い用途で使用されます。ただし、焼入れによる硬化はできず、冷間加工によって硬度を高めることが可能です。ミナミダでは、この冷間加工時の加工硬化により切削加工などと比較して高強度を引き出す成形を得意とします。
SUS316(オーステナイト系)
SUS304にモリブデン(Mo)を添加することで、耐食性、特に海水や各種媒質に対する耐孔食性(局部的に腐食するのを防ぐ性質)を向上させた材質です。沿岸地域の設備や化学プラント、医療機器など、より高い耐食性が求められる過酷な環境下でその真価を発揮します。
SUS410(マルテンサイト系)
焼入れ(熱処理)を行うことで、高い硬度を得られることが最大の特徴です。焼入れ後の硬度はHRC50以上に達することもあり、優れた耐摩耗性が求められるシャフトや刃物、ノズルなどに使用されます。耐食性はSUS304に劣るものの、強度と硬度を両立させたい場合に最適な選択肢となります。
ミナミダでは、これらの代表的な材質はもちろん、お客様の要求する強度、耐食性、コストに応じて、最適なステンレス材質の選定からご提案します。
ミナミダが持つ、長尺・大径シャフトの「冷間鍛造」によるステンレスシャフト製造の優位性
ステンレスシャフトの製造方法は、大きく「切削加工」と「鍛造加工」に分けられます。切削加工は、丸棒状の材料から不要な部分を削り取って形状を作り出す方法です。多品種少量生産には向いていますが、材料の多くが切子として廃棄されるため歩留まりが悪く、加工時間が長くなる傾向があります。また、金属の組織繊維(ファイバーフロー、または鍛流線)が切断されてしまうため、素材本来の強度を最大限に活かすことができません。
一方、ミナミダが最も得意とする冷間鍛造は、常温のまま材料に圧力をかけて金型の形状に成形する塑性加工技術です。この製造方法には、切削加工にはない数多くのメリットが存在します。
高強度・高耐久性の実現
冷間鍛造では、材料を切削するのではなく、叩いて圧力を加えることで金属組織を緻密にし、成形します。これにより、ファイバーフローが製品形状に沿って連続した状態を保つことができます。ファイバーフローが途切れないことで、応力集中が緩和され、シャフトの強度、特に靭性(粘り強さ)や疲労強度が飛躍的に向上します。ステンレスのような難加工材でも、ミナミダの冷間鍛造技術は素材のポテンシャルを最大限に引き出し、より高強度で信頼性の高いシャフトを生み出します。
高精度なネットシェイプ成形
ミナミダの冷間鍛造は、高精度な金型設計技術と成形ノウハウにより、最終製品に近い形状(ニアネットシェイプ)や、後工程が不要な形状(ネットシェイプ)での製造を可能にします。これにより、切削などの追加工を大幅に削減、あるいはゼロにすることができ、寸法安定性の高い製品を効率的に生産します。
圧倒的なコスト競争力
冷間鍛造は、材料を削らないため材料歩留まりが非常に高く、廃棄される材料を最小限に抑えることができます。また、高速での自動生産が可能なため、加工時間も大幅に短縮されます。材料費の削減と生産性向上という二つの側面から、トータルコストの大幅な削減に貢献します。特に、量産品においてはその効果は絶大です。
ステンレスの冷間鍛造は、その硬さや粘り強さから高い技術力が要求されますが、ミナミダは長年の経験と研究開発により、独自の金型技術と潤滑処理技術を確立しています。これにより、複雑形状のステンレスシャフトであっても、安定した品質での量産を可能にしています。ミナミダの冷間鍛造技術に関するより詳細な情報は、こちらの技術専門サイトでも解説しています。
関連記事:https://reikantanzou.com/
多様な業界を支えるミナミダのステンレスシャフト導入事例
ミナミダが製造するステンレスシャフトは、その高い品質と信頼性から、極めて高い精度と耐久性が求められる自動車業界をはじめ、さまざまな分野で採用されています。ミナミダは、お客様が抱える「もっと強く、もっと精密に、そしてコストを抑えたい」という課題に対し、冷間鍛造技術を軸としたソリューションで応えてきました。
自動車部品分野
重要保安部品にミナミダのステンレスシャフトが数多く使用されています。例えば、精密な動作が求められるセンサー部品のシャフトや、高トルク伝達を担う駆動系のシャフトなど、μm(マイクロメートル)単位の精度と、繰り返される負荷に耐える疲労強度が両立された製品を提供しています。切削加工から冷間鍛造への工法転換により、強度アップと大幅なコストダウンを同時に実現した事例も多数あります。
産業機械・OA機器分野
工場の自動化設備で使われるロボットのアーム部分や、各種ポンプの回転軸などにミナミダの技術が生かされています。特に、高速で回転するモーターシャフトなどでは、鍛造による優れた寸法精度と表面の滑らかさが、振動や騒音の低減に貢献しています。
住宅設備・建材分野
屋外で使用される門扉のヒンジピンや、水回りで使用されるバルブのシャフトなど、耐食性が重視される用途でもステンレスシャフトは活躍します。SUS316などの高耐食ステンレス鋼を用いることで、長期にわたる美観と機能維持を実現します。
ステンレスシャフト加工のポイント
当社では、加工可能なサイズとして最大径φ25mm、長さ400mmまでの圧造が可能ですが、ステンレス製シャフトにおいても形状が複雑でなければ同サイズまで成形が可能です。
しかし、ステンレスシャフトの加工におけるポイントとしては、先に挙げた通り硬度であり、その硬度による成形自由度に制限があるという点です。その為、形状によってはサイズはクリアできても加工ができない場合や切削を組み合わせないことには加工ができないという製品もあります。
ではどのような形状が難しいのか?というと、例えばシャフトへの穴加工においては深穴であったり或いは複雑な異形状の穴の場合は切削加工など、二次加工を含んだものづくりを考慮した工程設計が必要となります。
このように一般的なCH材などでは可能な加工であってもステンレス鋼となると加工が難しくなるというのは往々にしてあるため、ステンレスシャフトの製造を検討中の方はご相談ください。成形方法はもちろん、VA・VE提案も併せて行うことでコストメリットを出す提案も致します。
ステンレスシャフトの事例紹介
自動車用の廃棄回収機部品 シャフトエキゾースト
本事例は、自動車業界向けのシャフトエキゾースト部品です。
特徴としては、軸径に対して、L/D≒4の強据え込みを実施している点が挙げられます。
また、フランジ面の寸法公差・軸部の面粗度がRa3.2であるため、二次加工も含んだ工程設計では仕上がりに注意して製造を行う必要がございます。